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HIRATAINDERへの道のり-システム手帳バインダーをどのように開発したか

このページでは、スライド手帳 HIRATAINDERがどのようにして生まれたのか、その紆余曲折などを書いてみます。(2014年2月現在)
すべて事実に基づいており、盛ったりしておりません。
長文ですので、覚悟してお読みいただければ幸いです。

目次

HIRATAINDER、長い前夜、「迷いの時代」

まず、HIRATAINDERに至る前の前夜について書いておこう。B5サイズからA5サイズへ移行するまでの紆余曲折である。

26穴B5サイズの時代

あたぼうの代表である私が経営コンサルタントとして独立した当初、私は26穴のB5サイズのルーズリーフを使っていた(写真のものがまさにそれ)。中のリフィルは、コレクト社―後に大きな出会いになる―のB5サイズのダイアリーも使っていた(このころからオリジナルリフィルは多数作っていた)。
26穴バインダー写真はじめ、マルマン社のルーズリーフ用バインダー、そう、中高生、大学生が使うあのプラスティックのバインダーを使っていた。正直、学生みたいで嫌だったが、B5サイズはしっくり来ていて、たくさんのメモをしていた。フォーマットは、レフト式だった。ここでは、HIRATAINDERのことを書くので、フォーマットやリフィルの話はこのくらいにしよう。

さて、プラスティックバインダーを使っていたのだが、良いものを買おうということで(作ろうという発想はなし)、伊東屋さんをはじめ、さまざまな文具店に足を運び、B5サイズのルーズリーフバインダーを探した。

実は、B5サイズのルーズリーフバインダーにはあまり質の良いものがない。多くはプラスティックで、せいぜい布張りか、ビニール製である。私の探し方も悪かったのかもしれない。コレクト社にもビニール製は存在した。

やむを得ず、プラスティックから少しだけグレードアップして、布張りのルーズリーフバインダーを入手して使い始めた。しかし、妻が言った。
気に入ったものがないなら、オーダーで作れば良い
と。そして、作った。

オーソドキシー製バインダールーズリーフバインダーをオーダーで作ってくれるところを探すのも結構苦労した。しかし、本題ではないので、そこは省略しておこう。

結局は、当時、代官山にあった「オーソドキシー」という会社に頼んで作ってもらった。実はその前に渋谷にある「Herz」という会社にも話をしていたのだが、鞄がメインで糸が太く対応できないということだった(その当時の話)。
そして、オーソドキシー製のルーズリーフバインダーは出来上がった。恥ずかしながら、価格は8万円だった。

写真ではその部分が映っていないのでわからないが、このオーソドキシー製バインダーは「背中が平たい」のである。このときから、背中の平たさにはこだわっていたのだ。

その点から、実はシステム手帳ではなく、ルーズリーフバインダーを選んでいたということもある。システム手帳のバインダーは背が丸くなるからである。このオーソドキシー製バインダーとは、だいたい5年くらいつきあうことになる。

このオーソドキシー製バインダーを利用している間に、「スライド手帳」の原型は生まれている。コレクト社のダイアリーの再加工品である。これについては、別に書きたいと思う。

A5へ移行、ただしビニール製

スライド手帳の原型が生まれたのち、私もA5サイズへ移行することになる。それは、スライド手帳を販売するにあたり、B5サイズよりはまだA5サイズの方が需要があるだろうと考えたからである。

システム手帳のことを考えれば、本来ならバイブルサイズが最もボリュームゾーンなのだが、「スライド手帳」のリフィルでは、両側に穴をあける必要があるため、当初バイブルサイズは眼中になかったのである。

A5に移行することになったので、オーソドキシー製のB5サイズバインダーは使えなくなった。穴が合わないから当然である。しかし、A5サイズのオーダーメイド品を作る方向はなかった。

なぜなら、「高すぎた」からである。また、8万円を出す気にはなれなかったのである。実際、B5サイズのバインダーを作ったときも、高いなあと感じていたのは事実である。

一方で、「背中の平たさ」は曲げられない。となると、本革は避けることになる。背中が丸いのばかりだからだ。ここは本当に不満が募った。

やむを得ず、レイメイ藤井社の「Davinci」製A5サイズ6穴バインダーを購入し使うことにした。ビニール製で、中には芯としてボール紙が入っていたものである。閉じたときに角張った形にはなるものの、開いたときには確実に平たくなる。閉じたときの形には目をつむり、価格も手頃であることから、簡単に購入に至った。

しかし問題が起こる。

この商品は、少し使っていると、折り目であるバインダー金具のすぐ横の部分のビニールが裂けてきてしまうのである。そして、中に入っているボール紙が見えてきた上に、ボール紙の粉が外に出てくるため、見た目が非常に悪くなるのである。

これには困った。結局、同じものを3つ買ってしまった。

ヌメ革を開発、10冊販売

そうこうしているうち、やはり、これは一発、革製できちんとしたものを作った方が良いという考えに至った。が、オーダーメイド品を買うつもりもない。

なんなら、思い切ってヌメ革のものを作って、スライド手帳と一緒に販売すれば良いということになった。既に、スライド手帳のA5サイズはネットで販売しており、ユーザも少しだけいらした。問題はどこで作るかである。

などと考えていると出会いはあるものである。

私が仕事をしている台東区内には、革の業者がたくさんいる。その中にたまたま私が仕事をしている区役所の窓口に「創業相談」に来た若者がいたのである。

その若者は、靴を作るメーカーを興していた。手帳の話をすると、
牛一頭分の革を買うならできる
という。思い切って依頼してみた。

バインダー全形追加ヌメ革は、傷があったりするので、なかなか全体を使うことができないということをそのとき、初めて知った。

結局、牛一頭から11冊のヌメ革A5サイズバインダーが出来上がった。金具は、クラウゼ製を使った。が、大事なことが失われた。

「背中の平たさ」

である。これは、クラウゼ製の金具を使うとどうしてもそうなるのである。若い靴職人にはかなり無理を言ったが、結局、平たさは失われた。

また、片手間にやってもらっていたこともあって(創業時はいろいろ忙しいのだ)、製品が出来上がるまでは時間が非常にかかった。
ぎりぎり、年末商戦には間に合い、また友達に購入してもらったこともあって、なんとか10冊を売り切った。そして、1冊はサンプルになっている。

実は、この若い靴職人とはその後、取引ができなくなった。なぜなら、彼の靴が非常に売れて忙しくなってしまい、私のバインダーにはかまっていられなくなったのである。とても残念である。

ところで、この時のヌメ革バインダーを買ってくださったユーザーには、いまでも「スライド手帳」のリフィルを購入してくださる方がいらして、本当にうれしい、ありがたい。
こうして考えると、本当にスライド手帳は人との出会いに支えられている。

バインダー熱は、一度ここで冷めてしまう。そのため、2年間はネットショップで「スライド手帳」のリフィルだけを販売し続けていた。そんな中、2年ほど経って、新たな出会いがあるのである。

HIRATAINDER誕生!

HIRATAINDER誕生前の紆余曲折は、上述の通りだが、ここからはHIRATAINDERへ至るきっかけと完成について書いてみたい。

ドイツ製リサイクルレザーとの出会い

まず、HIRATAINDERが誕生するために非常に重要な出会いを紹介したい。それは、「ドイツ製リサイクルレザー」との出会いである。
サラマンダーという会社の製品である。「ボンデッドレザー」とも呼ばれているそうだ。

リサイクルレザーは、普段は捨てられてしまう革の切れ端を集め、細断してベニヤ板のように再成形した素材のことを言う。サラマンダー社はドイツの老舗で、接着剤以外の原料は全てきちんとした革を使っているそうだ。

カケス雑貨店またもや、台東区の話になって恐縮だが、リサイクルレザーを初めて見たのはかっぱ橋にある雑貨店「カケス雑貨店」である。

この雑貨店に、リサイクルレザーを使った書類ファイルやノートカバーが置いてあったのである。現在、HIRATAINDERに使われている「オレンジ」のリサイクルレザーはこのときに出会い、「この色だ」と思った。

店長に聞いてみるとこれまた台東区のデザイナーが持ってきたものだという。

これまた若いデザイナーで、革を使ったいろいろな小物を作ったりしているという話。すぐに紹介してもらい、会いにいった。

私の熱に呼応してくれて、リサイクルレザーを使ったA5サイズバインダーを一緒に考えてくれることになった。

デザイナーとの試作とHIRATAINDERの誕生

さて、少し経って、若いデザイナーからいくつかの案が出された。
とにかく、私が背中の平たさにこだわっていたことから、複数の案を出してくれたのである。

それぞれの案についてはここに示さないが、もちろん、その案の中にいまのHIRATAINDERの原型も含まれていた。
私の要求をいろいろ聞き入れながら、数度の試作を重ね、なんとかいまのHIRATAINDERの形が整った。

リサイクル5バナーそのときに作ったサンプルは、5色あった。裏地はすべてグレーだったが、表面は5色だった。残念ながら、試作品だったこともあって、

  • 1)縫いがちょっと荒かった
  • 2)革の張り合わせが弱かった
  • 3)張り合わせてあった間にゴミらしきものが入っていた
  • 4)バインダー金具を止めてあるカシメがさびていた

などの問題があった。
まあ、これはサンプルだからということで了承して、受け入れ、サンプルにかかった費用を支払った。

HIRATAINDERの誕生である。

そして、それらをISOTに出し、世間に問うてみることにした。

ISOTへの出展

ISOTブースということで、文具の展示会であるISOTへ出展したわけだが、その出展経緯については別に書きたいと思う。
簡単に言うと、ある人との出会いがきっかけである。ある人とはBeahouseのアベ氏である。ご存知の方も多いかと思う。

ここでは、とにかくHIRATAINDERへのISOTでの反応について書いておこう。基本、「これはいままでなかった形だね。いつ発売するの?」というものである。
もちろん、スライド手帳リフィルの方にも「なるほど!」という反応がいただけていた。

  • 「確かに平たい。これまでになかった形だ」
  • 「リサイクルレザー、なめらかな感触だね」
  • 「いつ発売するの?」
  • 「いくらで売るつもり?」
  • 「帳合先はどこ?」

と言った前向きな反応があって、手応えを得た。
一緒に考えてくれた若いデザイナーも来てくれて「反応が良いのはうれしい」と言ってくれた。実際、量産のための見積もお願いしたのだった。なお、悪い反応もあった。

  • 「サンプルとはいえ、縫いが汚い」
  • 「ちょっと分厚いな」
  • 「中のグレーの色は何とかならないのか」

などである。
特に、文具王の高畑さんから言われた最初の「縫いが汚い」については返す言葉がなかった。自分もそう思っていたので。
量産のときにはきっと改善しておこうと心に決めた部分でもあった。良い反応を手に、量産の夢を見てISOTを意気揚々と後にしたのである。が、落とし穴はその後に待っていた。

HIRATAINDERのシステム手帳としてのこだわり

ここで、閑暇休題。HIRATAINDERのこだわりについて、書いておきたい。それをご理解いただいた上で、次の「お蔵入り」の話を続けて読んでもらえると嬉しい。

平たさの追求

システム手帳を使ったことがある方なら、わかっていただけると思う。
開いた時に背中が丸くなることを。
HIRATAINDERでは、これをなんとかしたかった。

そして、たどり着いたのがHIRATAINDERの形状である。
実際、どうなっているのかを表現してみたい。

最大の特徴は、表紙部分(裏表紙も含め)と背表紙部分が別々の部品になっていることである。
これは、他のシステム手帳バインダーにはない特徴である。

この特徴のおかげで、閉じた時には背表紙が丸くて持ちやすく、開いた時には机に吸い付くように平たくなる。
この両方を同時に実現するのはなかなか難しいのである。

下のPDFをあとで見て欲しい。市販品との違いがわかっていただけるかと思う。

他のこだわり

他にもいくつかこだわりがある。

リサイクルレザーは結局のところ、こだわりポイントになった。
本革のように味は出ないが、汚れには強く、傷も付きにくい。色合いも鮮やかになっている。

また、表紙には無駄な芯材を入れていないので、軽量になっている。リサイクルレザーが一定の硬さを持っていることからできることだ。
220gは、他にないと思う。これは、ポケットなども全て平たさのために排除したことも起因している。

HIRATAINDERパンフレット表
HIRATAINDERパンフレット裏

HIRATAINDER、お蔵入り

ISOTで好反応を得て、いけると踏んでいたのもつかの間。この時期が一番厳しかった。正直、今の状態をイメージできなかった時期である。

リサイクルレザーの入手が困難になる

落とし穴は突然来た。
量産の見積を依頼していた若手デザイナーから、見積をもらった数日後、
「バインダーを作れなくなった」 という連絡が入ったのである。

彼から聞いた理由は、

  • ・依頼していた工場がバインダー制作を拒否してきた
  • ・新たな工場を見つけるまではできない
  • ・新たな工場がリサイクルレザーを入手できるかは不明
ということで、すぐには対応できないということだった。

ここには書けない他の理由もあるのだが、とにかくリサイクルレザーが入手できないことになった。2年前の悪夢がよみがえる。ヌメ革バインダーを作ったときのことである。

選択肢としては、

  • ・リサイクルレザーは諦め、他の素材でやる
  • ・リサイクルレザーをとにかく探す
のいずれかだ。

正直、途方に暮れた。

だって、ISOTで散々発表してしまったのだから、リサイクルレザーを諦めるという選択肢はなかったし、若いデザイナーによると使っていたサラマンダー社のリサイクルレザーは、国内ではその依頼していた先の工場しか入手できないという話を聞いていたからだ。

リサイクルレザーを探す

まず、第一の交渉として、依頼していた工場に「生産はできなくても、リサイクルレザーだけは素材としてまわしてもらえないか」というものである。
若いデザイナーを通してお願いしてみたが、いろいろな理由によってそれができないということがすぐにわかった。ダメだ。人間関係は難しい。

次は、とにかくネットでリサイクルレザーを検索し、「素材」として販売しているところがないか探すことである。

ところが、本革とは違い、なかなか見つからない。Googleさんも20ページくらいいろいろな検索キーワードで探してくれたが、全く見つからない。途方にくれた。

が、ひとつの転機が訪れる。「自分で輸入できないのか」という考えが出てきたのである。

この考えが出たら、今度は輸入する方法を考えるわけである。
しかし、私は輸入に関しては全くの素人。何をしたら良いかわからないし、どうやってサラマンダー社に「ドイツ語がわからない私」が連絡すれば良いのか。

ntf_322_1.pngん?ならば、ドイツに関係のあるところに聞いてみよう。ということで、ドイツ大使館のウェブサイトを見る。するとどうだ。「在日ドイツ商工会議所」なる機関へのリンクがあるじゃないか。そこならきっとわかるかもしれない。

早速、ドイツ商工会議所へお問い合わせのコーナーから連絡してみると、翌日返事が来た。

日本国内の総代理店を紹介する」とのこと。連絡先を教えてもらい、電話してみたら一度、会って話をしようということになった。新宿で落ち合って、商談のつもりで行ったのだが、

「自分で好きなものを輸入するには、1種類1670枚(120cm x 120cm)を買う必要がある」

という回答。。。どうにもならない。笑うしか手はなかった。

日本で他に取り扱っているところも聞いたのだが、ロットが話にならないだろうということだった。ここで、あらためて頓挫する。

再び、動き始めたHIRATAINDER

ドイツ大使館でなんとかできるのではないかと希望を持ったのに、あらためてその芽をつぶされてしまい凹んでいたが、思わぬところから突破口が見え始める。

工場を探す

a1180_007789.jpg素材がなかなか見つからない一方、うまく素材が見つかったときには、すぐに生産にかかれるよう、工場を探しておく必要もあった。

そして、そのときは、「個人はダメだ。二回失敗しているじゃないか」という考えで数人でもきちんと工場として運営されている会社を探すことにした。

いまの工場を見つけるまで、実は3つの工場を渡り歩いている。

はじめの工場は、東京商工会議所に紹介してもらった靴の製造工場である。
若い経営者で、いずれは欧州に進出したいという非常に拡大指向の人だった。手帳の相談にも乗ってくれて、見積も作ってくれた。

しかし、「リサイクルレザー」を入手するルートは持っていなかった。また、本革のヌメ革で作る見積を見たら、とても量産できる値段ではなかったのである。

二つ目の工場は、台東区で毎年行われている「モノマチ」で出会った工場である。
実際には、間接的に出会っている。

スライド手帳のリフィル用に紙を捜していた私はある紙問屋さんと知り合いになる。その紙問屋さんから工場を紹介してもらったのである。しかし、残念ながら、そこでもリサイクルレザーが入手できない。またダメだった。

三つ目の工場は、墨田区にある工場である。

ここは、革教室に通っている友人から紹介してもらった。
訪問すると、快く引き受けてくださる感じだった。
リサイクルレザーも探してくれるというので、展示会に出したサンプル品を置いてきた。
が、その後、見積もくれないし、サンプルを返してもくれなかった。とても残念である。こちらから二度ほどメール等も出したが、もう諦めた。

そして、いまおつきあいしている工場である。いまの工場は台東区内にある。

ここはどこから紹介してもらったかは秘密である。とにかく、ある信頼できる筋である。

この工場は、普段は婦人物の鞄、紳士物のベルトを中心に革小物等も手がけている。
ワニや他の革など、特殊な革も扱っているという話だったので、加工もいろいろできるだろうと考え、訪問した。

展示会に出したサンプルを見せ、「これなら十分にうちでもできる」という回答を得られた。おまけに、「リサイクルレザーを探してくれる」という。

特殊な革を扱う仕入れ先が複数あるということで、恐らくリサイクルレザーも入手できるだろうということだったのだ。

こういうものはタイミングと出会いだと改めて思う。
しかし、結局のところ、私が希望した色のレザーは輸入されておらず、ロットの関係で今のHIRATAINDERの黒とオレンジを選択することになった。

でも、工場が決まって、リサイクルレザーも入手できることが決定し、やっとめどがつき始めたのが、夏の終わりだった。

あらためて試作を重ねる

HIRATAINDER橙のサムネール画像さて、工場は決まったが、前の作り方がわからない。
入手できるリサイクルレザーも微妙に違ったものになったことで、あらためて試作することになった。
この工場で最初に作った試作品は、実は私が今、自分用に使っているオレンジのHIRATAINDERである。

これは、

  • ・表面がオレンジ
  • ・金具は当初のものより一回り小型化
  • ・裏面は紺の塗装を施してある
ものである。

しかし、裏面の塗装は品質が安定しなかった。
塗装してもらったものを他にも見せてもらったが、穴があいたり、ぽつっと出っ張りができたりして真っ平らにはならない。いろいろ、方策を練ることになった。

最終的に、3度目の試作で、裏面にもリサイクルレザーを貼ることにして落ち着いた。品質もこれなら安定する。

また、背中の部分は薄くなるので、縦に裂ける可能性が指摘された。外からは見えないのだが、その裂けるのを避けるための対策も打ってあるのだ。これはユーザーさんからはわかりにくいところではあるが、長く使ってもらうためには大切な部分である。

なお、試作品のためのバインダーは私がいろいろなところで探してきたものを工場に提供していたが、今は工場で「WORLD WIDE」製のバインダー金具を入手してもらっている。
形状的に「クラウゼ製」は使えないということが早い段階でわかっていたので、工場に探しておいてもらったのである。

この辺まで至る頃には、もう10月を迎えていた。

名前がHIRATAINDERになる

工場を探したり、試作を重ねたりしている間に、どのようなパッケージングにするのが良いか、名前を何にするかなども並行して考えていた。

限られたメンバーで運営されているネット上のグループで、あーでもない、こうでもないとがやがやしながら、生まれたのがHIRATAINDERという名前である。

いろいろな名前が浮かんでは消えた。捨てられた名前たちを忘れてしまっている私は薄情者だろうか。

箱に貼ってある、HIRATAINDERのロゴマークだが、これは私が撮影したHIRATAINDERの写真を若いデザイナーさんがロゴマークへ仕立ててくれたものである。Kino.Qを運営する紀さんである。バインダーの平たさを表現する最高のロゴマークになっていると思っている。どうもありがとう。

正式な販売開始とその後の動き

名前も決まり、ロゴマークもでき、なんとか製品もできあがった。製品リリース後のことを少しだけ書いておきたい。

リリースがすっかり遅れたが、良い話もあった

さて、以上のような形でなんとか形になってきたHIRATAINDERだが、9月には出す予定でがんばっていた製品リリースはすっかり遅れてしまっていた。
製品を実際にネット上にアップできたのは2013年12月に入ってからで、ほとんど手帳の季節がすぎてしまっていた。

実際には、新しい工場で作ってもらったHIRATAINDERの試作品を皆さんのお目にかけたのは、「日本手帖の会」主催の「手帳100冊書き比べ総選挙」の展示で使ったとき。
東急ハンズ銀座店の店頭(といってもイベントスペース)が初お披露目。

実は、そのとき、ハンズの店員さんからちょっと怒られている。手帳総選挙でHIRATAINDERを見たお客様が、
「HIRATAINDERが欲しい」
と東急ハンズ銀座店の店員さんに要求したのである。

まだ発売前で店頭には当然並んでいないわけだから、怒られて当然である。
どこでも買えないわけだから。

しかし、怒られて申し訳なかったのだが、一方でうれしいことでもあった。少しは売れるのではないかと思ったからである。

正式な製品リリースは、結局、2013年12月である。

正直、どのくらい売れるか確信がなかったし、ヌメ革バインダーを販売したとき、10売るのがいっぱいいっぱいだったので、初期ロットは非常に小さくしておいた。
といっても、まあ、手帳の季節が終わる3月末までに初期ロットがなくなれば良いなと軽い感じで構えていた。

それは間違いだった。

メディアに取り上げられる

a0011_000141.jpg時間的には、ISOT直後あたりから、メディアに取り上げてもらえるようになった。この点を考えれば、ISOTに出たこと自体は悪いことではなかった。

正直、売上に直接的につながっていないような感じもするのだが、メディアに出たことをコストに換算したらきっとプラスだったのだろうと思う。

どんなメディアに取り上げられたかは、メディアの掲載実績を見てもらえればと思うが、うれしかったのは文具ならこの方々という著名人たちに認めてもらえたことである。時間の順で紹介したい。

まず、本格的にHIRATAINDERを取り上げてくれた著名人は、「納富」さんである。Twitterでも「あ、本当に平らに開くよ」とつぶやいてくださるほど、感心してくださった。本当にうれしかった。
記事は日経トレンディネットに掲載された。

そして、二人目は「土橋」さんである。
情報が公開された順番だと、次の「館神」さんの方が早いのだが、原稿を書いてくださったのは恐らく土橋さんの方が早い。
AllAboutに情報を掲載してくださった。HIRATAINDERが狙っている平らさをとても素晴らしく表現してくださった。

さらに、三人目は「館神」さんである。
ご自身で運営されているブログに「バインダーのイノベーション」などという言葉で過分なご評価をいただいた。
館神さんには、スライド手帳の発表当初から文章をいろいろ書いていただいており、本当に感謝している。

在庫が切れてしまう

予想に反して、製品リリース後、初期ロットは順調に消化された。

半分くらいが消費されたところで、工場への追加発注をした。
しかし、次の納品は2014年1月末になってしまうということがわかり、在庫が切れることがほぼ確実になってきた。

そして、実際、在庫が切れた。
数人のお客様をお待たせすることになってしまった上に、卸経由で販売していた小売店様にもお待ちいただくことになってしまった。

普段、「機会損失」は喜んではいけないものと考えている私としては、本当に痛恨の極みだった。これからの在庫管理を強く意識させる事実だった。
待ってくださった皆様には本当に心から感謝する。

販売拡大中

その後、第二ロットが納品されて、在庫はある程度持てるようになった。
注文残はすべて対応でき、その後のネットショップからのご発注や卸売りからの追加発注にもなんとか対応できている。

そして、小売店さんの反応を書きたい。
許可を取っていないので具体的な名前は言えないが、次のように言ってもらえた。

「システム手帳の市場は、本当に厳しい。なぜかといえば、新しい製品が少ないからだ。これなら、ぜひ早くやりたい」

実際には、franklin plannerでリングのないバインダーや、ASHFORDからHBxWA5などのバインダーが出ている。
しかし、システム手帳市場にインパクトを与えるほどにはなっていないのかもしれない。

HIRATAINDERもどのくらいシステム手帳市場にインパクトを与えれるかわからないが、これからまだ進出していない小売店さんやユーザーさんの元にHIRATAINDERを届けられるよう、がんばっていく。応援してください。

価格について(高くてすみません)

HIRATAINDER の価格は高いと言われます。すみません。企業努力不足です。

しかし、二つの理由があります。

ひとつめはその素材

HIRATAINDER経過素材は、ドイツ製リサイクルレザーです。リサイクルレザーを使っていることによって、高級な本革よりは安くなりますが、合皮よりは値段がどうしても高くなります。

ただし、合皮よりも長持ちします。汚れにも強いですので、その価格差以上の価値はあります。
実際、私が6ヶ月使って、ほとんど傷や汚れは付いていません。写真の左が5ヶ月経過、右は1週間です。

第二の理由は、その形状

「平たさ」を実現するためのその形状は、特徴的です。
通常のシステム手帳バインダーではミシンをかける回数が1回なのに対して、2回になります。
また、表面と裏面の革を貼り付ける作業も通常、1回なのに、HIRATAINDERでは、3回になっています。
作業費がかかります。

素材を合皮に変えれば、いくらか安くなるかと思いますが、それだとお客様に短期間で買い換えを強要するような形になります。これはいやです。

形状は今後も改良を重ねていこうかと思っています。ただ、今はこの形が一番よいと思っております。いずれ、廉価版が出せるように研究を重ねて参ります。

言い訳は以上です。すみません。

やり残していること

実際、まだこれで終わりだとは思っていない。この文章を書いている2014年2月16日時点で、上述の通り、まだまだ小売店様への導入は進んでいないし、さらに改善するところもあるように思う。

場合によっては設計を変えることも考えている。これからもスライド手帳らしい、バインダーを作り続けたいと思っている。

ぜひ、コメントをお寄せください。↓の方に書き込めます。

2014年2月19日 価格について追記 2014年2月16日 初公開


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